イタリアンライグラスの冠さび病抵抗性主働遺伝子の同定


[要約]

  イタリアンライグラスにおいて、3つの冠さび病抵抗性主働遺伝子の座乗位置を明らかにした。これらの抵抗性遺伝子は、抵抗性品種育成のために利用できる。

[キーワード]

イタリアンライグラス、冠さび病抵抗性、連鎖解析、飼料作物育種

[担当]畜産草地研究所・飼料作物開発部・育種工学研究室
[連絡先]0287-37-7690
[区分]畜産草地 
[分類]科学・参考


[背景・ねらい]
 冠さび病は、収量、品質および家畜の嗜好性を低下させ、イタリアンライグラスにおける最重要病害の一つである。しかしながら、抵抗性品種の遺伝的背景は分かっていなかった。そこで高度安定抵抗性品種育成のために、分子マーカーを用いて複数の冠さび病抵抗性遺伝子を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1. 図1に示すように、抵抗性系統「山育130号」および抵抗性品種「はるかぜ」と感受性品種「ワセアオバ」とのF1集団のうち、人工接種による判定で主働遺伝子が1つだけ含まれる集団を育成した。
2. 連鎖解析の結果、「山育130号」からは、2つの解析集団を用いて2つの抵抗性遺伝子(Pc1とPc3)を、「はるかぜ」からは、1つの抵抗性遺伝子(Pc2)を同定した(表1)
3. Pc1とPc2については0cM、Pc3については0.8cMで連鎖するSTSマーカーが得られた。
4. SSRとSTSマーカーを用いた解析から、Pc1は第4連鎖群に、Pc2とPc3は第7連鎖群に座乗することが明らかとなった。Pc2と0cMで連鎖するSTSマーカーが、Pc3と0.8cMに位置づけられ、これらは密接に連鎖した遺伝子座もしくは、同一の遺伝子座に座乗することを示唆する(表1)
5. これらの主働遺伝子を一つでも持つ個体は、接種試験において、大部分の個体が病徴を示さない(表2)。これらの抵抗性遺伝子を集積させることにより、高度安定抵抗性品種の育成が可能となる。
[成果の活用面・留意点]
1. これらの冠さび病抵抗性遺伝子はイタリアンライグラスだけでなく、近縁のペレニアルライグラス、メドウフェスクおよびトールフェスクでの利用も考えられる。
2. 遺伝子とレースの組み合わせによって、感受性になる場合がある(今回は、山口菌のみによる検定)。

[具体的データ]







[その他]

研究課題名:イタリアンライグラス冠さび病等抵抗性遺伝子の連鎖解析
予算区分: 交流共同
研究期間: 2001〜2003年度
研究担当者:藤森雅博、平田球子(日本草地畜産種子協会)、間野吉郎、佐藤広子、高溝正
発表論文等:Fujimori et al. (2004) Molecular Breeding of Forage and Turf、Kluwer academic publishers (The Netherlands) 21-35


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